「掃除しようと思っても、なかなか続かない……」と悩んでいませんか? でも、それはあなたの意志が弱いからではありません。「よし、やるぞ」と気合を入れないといけない仕組みそのものに問題があるのです。
心理学に「ハビット・スタッキング(習慣の積み重ね)」という考え方があります。すでに日常に定着している習慣に新しい習慣をそっとセットすることで、脳の抵抗感をなくすテクニックです。これを掃除に応用したのが「ついで掃除」。特別な時間も、強い意志も必要ありません。毎日の何気ない動作の中に、掃除を自然に溶け込ませていきましょう。
家の中を移動するとき、手が空いていることってよくありますよね。そのタイミングを、ちょっとした掃除のチャンスにしてみましょう。
たとえば、トイレに行くついでに、通り道にある棚のホコリを指先やハンディモップでさっと払う。キッチンからリビングに戻るついでに、出しっぱなしのコップをひとつ持って帰る。寝室へ向かうついでに、床に落ちている髪の毛をひとつ拾う。どれも10秒もかからないことばかりです。
「移動するときは手ぶらで歩かない」という小さなマイルールを作ると、自然と部屋が片づいていきますよ。

わざわざ「掃除の時間」を作るのは、もうやめてしまいましょう。他のことをしている隙間時間を、上手に活用するのがポイントです。
歯磨きをしながら、空いているほうの手で洗面台の鏡や蛇口をタオルの端でさっと拭く。お湯が沸くのを待ちながら、コンロ周りの油はねをキッチンペーパーでひと拭きする。ドライヤーをかけながら、足元に落ちた髪の毛をハンディワイパーでさっと集める。
どれも1分以内に終わる作業です。でも、この1分の積み重ねが、週末の「2時間がかりの大掃除」を不要にしてくれます。毎日少しずつ整えておくほうが、結果的にずっとラクなのです。
「あとでまとめてやろう」という気持ち、よくわかります。でも残念ながら、汚れは時間が経つほど固くこびりついて、落とすのに何倍もの労力がかかるようになってしまいます。
洗面台に水が飛んだら5秒で拭く。レンジの中にソースが飛んだら5秒で拭く。玄関に砂が上がったら5秒で掃く。「5秒だけなら、今やっても損はない」と自分に言い聞かせてみてください。
汚れがついたその瞬間、あるいはつく前に動くのが、実は一番楽をする方法です。「後回しにするほうが結局しんどくなる」ということを、一度体験してみると実感できると思いますよ。
合言葉を実践するうえで、もうひとつ大切なことがあります。それは、掃除道具の置き場所です。「取りに行く」というひと手間が、意外と三日坊主の原因になってしまうからです。
洗面所には吸水性のよいクロスを置いておくと、歯磨き後にさっと蛇口が拭けます。食卓の近くに除菌スプレーと布巾を置けば、食べ終わった直後にテーブルをひと拭きする習慣がつきやすくなります。リビングの隅に出しっぱなしにしておけるモップがあれば、テレビを見ながら床を掃けます。玄関に小さなほうきとちりとりを置いておくと、靴を履くついでにさっと掃けて便利です。
掃除道具は隠さずに、使う場所のすぐそば(50cm以内が目安)に置いておくことが大切です。手を伸ばせばすぐ届く、そのワンアクションが「やろうかな」という気持ちを後押ししてくれます。

新生活の掃除で大切なのは、完璧を目指さないことです。毎日隅々まできれいにしなくてもいい。ただ、「汚れっぱなしの日をつくらない」ことだけを意識してみてください。
移動のついでにものを運び、何かのながらに表面を拭き、汚れたら5秒でリセットする。この3つの合言葉を頭に置いておくだけで、部屋は少しずつ、でも確実に整っていきます。
掃除を特別なイベントにするのではなく、歯磨きや着替えと同じくらい当たり前の日常動作にしていきましょう。まずは今夜、歯磨きをしながら洗面台をひと拭きするところから始めてみませんか?